「真似る」って深いんだ。
薄っぺらく受け取ると、「真似る」行為は、簡単そうで卑怯でダサい感じがする。
ところが、「真似る」行為は、難しく、勇気と強い意志が必要なものなの。
型を会得した人がするのを「型破り」という。
そうでなければ、ただの「形なし」。
これは、歌舞伎役者の故中村勘三郎さんの有名な言葉。
「型の会得」とは、先人たちの芸を真似し習得すること。
そして「型破り」とはオリジナリティのことだよね。
真似することなく、オリジナリティは生まれない。
真似をすることが、一流の芸を身につける近道で、同じように仕事でも趣味でも、誰もが、まずは真似ることから始めるべき。

お父さんが最初に働いた会社は、元商社マンで「営業の鬼」みたいな社長と事務の女性の2名しかいなかったの。
父親くらいの年齢で、短気だし、怖いし、震えあがりながら仕事をしていた。
そんな社長だけど、仕事もろくにできないお父さんからみても、やり手なことはわかった。
そこで、社長レベルの仕事は、到底無理だけど、社長の生活習慣は真似できると思った。
まず、社長は出社時間が早い。7時には会社に到着している。
だから、お父さんは、社長より早く6時30分には出社するようにした。
毎朝5時に家を出ていた。
そして、社長が読んでいた日本経済新聞、日経産業新聞、日経流通新聞(現在は日経MJ)の3紙をお父さんも購読した。
それまでは、スポーツ新聞くらいしか読んでいなかったから、読むだけで大変だった。
朝の通勤時に読みたいから、新聞販売店に、朝5時前に配達してもらうようにお願いしてね。
その他にも、話し方や、接客態度など、真似できそうなものを探しまくっていた。
当時は、社長の真似をして、一歩先の行動を予想して、怒鳴られたくなかっただけかもしれない。
でもね。この時の真似した行為が、仕事への取組み方の基礎となったことは間違いない。
真似ることは論理的実証性に関係なく、必要だし、間違いなく力がつく。
誰を何を真似るかについては、自分がいいと思った行動や、カッコいいと思ったしぐさなど、なんでもいいんじゃないかな。
難しく考えずに、とにかく真似る。
完コピするつもりで、全力で真似る。
そうすれば、自然と「らしさ」が生まれると思う。