仕事が一区切りしたら、旅行に行きたい。
なんて言う人が旅行に行くことはない。
旅行に行く人は、行ける時に行く。
今でもできることを、「いつかは」みたいに語る人がいる。
「人生は旅である」
って本気で言う大人は、自分に酔っているか、漂流することがカッコいいと思っているのだろう。
隣の芝生は青く見えるものだけど、「いいなー」が口癖だったりする、
自分の立場や境遇を嘆いて、他人のことを羨ましがる。
どれも、今を楽しめない人の特徴なんだよね。
家族や子供をテーマにして当代一の泣かせる作家 重松清さんも、
まずは、自分の居場所を好きになるところから。
そして、自分のいるところを好きになる才能に恵まれた人は、やっぱり上手くいく。
なんてことを言っていた。
今の場所を愛せないヤツはよそを愛することはできない。

今を楽しんでいない人ほど、よそに期待して行きたがる。
よそに行ったところで、また、同じように楽しめないことを繰り返して、
そして、さまよう旅人になってしまう。
結局のところ、今を楽しめない人は、将来も楽しめないし、もちろん過去も楽しんでいない。
ところが、今を楽しみ、自分のいるところを好きになることは、難しくもあり易しいこと。
自分の気持ち次第でどうにかなることって、難しくて易しいものだから。
だって、突然、気持ちが変わることは、まずないよね。
気持ちって、環境、境遇、そして今までに経験した、嬉しいこと、悲しいこと、成功したり失敗した、いろいろなことで形成される。
だから、簡単に気持ちのもちようは変えれない。
物理的・物質的に楽しめない状況だってある。
極端な話、難民キャンプで暮らす人に「今を楽しみなさい」って言ったら、殴られても文句言えないよね。
そう言えば、
毎回選挙特番では大活躍する人気ジャーナリストが、以前テレビ番組で難民キャンプで暮らす子供に「あなたの将来の夢はなんですか」
と、質問していたことがあった。
「先生になりたい」なんて答えを期待していたのかね。
その日1日をどう生きるか必死な子供に、したり顔して「夢」なんて言える男がお茶の間では、人気知識人なんだよね。
話を戻すと、
「今を楽しむ」とは贅沢なことを承知の上で、それでも、自分のいるところを好きになって、楽しんでもらいたい。
これは、根をはって、足元をみる生活につながるんだよね。