コミュニケーション能力の90%は「話しを聞くこと」
残りの10%は「伝えること」
「伝えること」のひとつに「話すこと」があるよね。
本屋には、「魅力的な話し方」みたいな自己啓発本が多くあるけど、言葉を発する(話す)ことは、とんでもなく破壊力のあるものだと、まず、わかってほしい。
テクニックじゃないの。
以前、図書館で本を選んでいた時に、携帯電話が鳴ったの。
もちろん、応答せずに、すぐに切ったんだけど、30歳くらいの女性が、お父さんの後ろを「ばーか」って言いながら通り過ぎたんだ。
今まで、「バカ、アホ」って、何度も言われてきたけど、その時の「ばーか」は、レベルが違うというか、こんなにも言葉が胸に突き刺さることがあるのかと、不思議なくらい衝撃的な経験だったの。
この出来事が、お父さんに、言葉の威力をはっきりとわからさせたんだ。

これ以降は、言葉選びに慎重になった。
特に、お父さんに対等に言い返せない立場の相手には。
ちなみに、対等に言い返せない人たちへの冗談は、冗談ではないからね。
お互いに言い返すことができて、冗談だから。
話しを戻すけど、この出来事は、15年くらい前だったかな。
40歳まで言葉の威力を考えずに、話していたなんて、情けないよね。
そして、一度、発した言葉は、取り消せない。
自分は、まったく覚えていない言葉を、言われた相手は、記憶していることってあるからね。
例えば、「嫌われる勇気」なんて言葉を勘違いして、暴言を吐いたらダメだから。
人は、けなされたり、馬鹿にされた言葉は忘れないもの。
「嫌われる」上位に「恨まれる」があるから。
恨みはこわいよ。
だからこそ言葉は、褒めたり、励ましたり、ポジティブなことに、バンバンと使った方がいい。
誉められた言葉から、その人の人生が変わることもあるかもしれないし。
ところが、困ったことに、悪口言ったり、ネガティブなことを言う方が、楽しいしラクなのよ。
また、ポジティブな発言ばかりを連発してたら、それはそれで、気味悪がられるし。
褒めたり、悪口だったり主観的なことではなく、状況説明みたいな客観的なことばかり話せば、つまらないヤツ認定されるし。
そんなことを考えだしたら、何も話せなくなるよね。
でもね、少なくとも社会人としては、そんな言葉が少ない、無口なヤツでいいと思うよ。
「聞くこと」が90%なんだから。
的確な言葉を、話を聞きながら考える。
そして話す。
口数が多くて、行動もできる人は少ない。
言葉が多いと行動は減るもんだよ。
繰り返すけど、話すことは、上っ面だけの話し方や技術論ではなくて、人に対する影響力“威力”を認識することが基本だから。
だから、あせったり、その場を取り繕うような話しはしなくていい。
みょうにアピールしなくても、わかる人にはわかるの。
芸人のように、おもしろおかしく話す能力や、大きな声で弾丸トークできる能力は、実社会では、それほど羨ましいものではないと思う。